トリの笑顔にルイはパーカーを脱ぐと走ってトリを追いかけた。
一緒に海へとダイブしたり、水をかけあったりと今までしたことのない海の遊び方でトリと時間を過ごしていった。
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日が暮れ青い海がオレンジ色に染まる…
終始笑っていたからか、頬が少し痛い…。そんな事を感じながらパラソルの下でトリと横並びに座り海を眺めた。
「スーツ砂だらけだね」
「…だな…」
「クリーニング出したら大丈夫だよ~、その間はお兄ちゃんの着てたらいいじゃん」
「うん、そうしよっかな~」
「…トリ?」
ルイの言葉に、トリは何処と無く他の事を考えているようだった。
「…ルイちゃん、俺さ芸人に憧れてなったんだ」
「えー?そうなの?」
トリの視線の先は空よりも、もっと…もっと遠くを見ている。
「誰かを笑顔に出来る仕事…、芸人だけじゃないとは思うけどさ…俺は芸人にこだわってんだよね」
「…なんで?」
「一人より、もっとたくさんの人を笑顔にしたいから…日本全国とか…さ」
「…芸人だとテレビとか出てたらみんな笑顔になれるもんね」
「うん、でも俺ちょっと夢見すぎてるんだ…」
ここに来る前に何かあったんだろう。ルイはそう勘付き、トリの手に自分の手を重ねてみた
「…ルイちゃん?」

