「……。」


 海にナンパはつき物だ。今までにも、ナンパをされたことは何度もあった。ルイはその度に適当にあしらったり逃げたりとしてきた。そういう事をするのも面倒だから海に来るのはイヤなんだ。

 でも今回の人は違うかった。いつものナンパじゃない…
 海なのに不似合いな格好をして、走ってきたのかハァハァ言っている。「ひとり?」と聞いてくることにルイはさらに不機嫌になった。


「一人にさせたのは誰よ!」

 海に入るのを止めパラソルまで戻りながら言うと、相手は苦笑いしながらルイを追いかけた。


「俺、俺…ごめんねルイちゃん」

 そう相手はトリだ。
 ルイはパーカーを羽織ろうと手を伸ばした。

「遅いよ…お昼くら言てたじゃんか!もう3時だよ!あとちょっとで夕方だよ!!」
「ちょっといろいろあってさ…てか、何?パーカー着るの?」