センターマイクの君へ(仮)


「え?」
「まー、いいや…」
「何何?どういう意味??」

 鳥井は笑いを堪えながらルイを無視し食器を洗い続けた。ルイは途中で止められ気になってしまいイスから降りると洗い続ける鳥井の横へ立ちエプロンを引っ張った。

「ねぇ?どういう意味?」
「あー、オイ引っ張るな!本気で割るって」
「だから割ってもいいってばー!」
「だから…もー」

 鳥井は洗っていた食器を一度置くと手を荒い、濡れたままの手でルイの頬を挟んだ。
 バシャっと音がすると同時に、ルイはビクっと体を反応させ強く目を閉じた。

「邪魔だからあっち行ってろ~」

 ルイが目をあけると、鳥井は笑ったまま食器を洗い始めた。

「もう…バカ」

 鳥井の態度に小声で呟くと鳥井はその言葉を聞き落とさなかった。

「バカとか言うなよー」
「だって…、教えてくれてもいいじゃん」
「…はぁ~、純粋って困るよなこういう時」
「え?」

 最後の一枚を洗い終えると、蛇口を閉め洗い終えた食器を拭きにかかる。