学校から帰って来たときだった。
 普段は見ない靴が玄関にチョコンと座っている…
「なにこれ、誰の?お兄ちゃんの新しい靴?」
 
 兄は普段靴はボロボロなのを履いている。汚いから買い換えてほしいと言ったこともあったがその度に、「靴なんて汚れていていいの」と軽く流されていた。
 やっと買ってくれたんだ!そう少し喜びながらいつものように家へと入る

「ただいまぁ!」

 少し高級なマンションに住む、如月 瑠衣は兄と二人暮らしをしている。
 両親は海外に飛んでいて、一年に数回、いや帰ってこないこともあるくらい忙しい。両親が海外へ転勤するとき、両親はルイを連れて行こうとしたがルイは日本に残ることにした。それは日本語の通じない場所で暮らすのが嫌だったこともあるが、両親と一緒に海外に行ってもきっと相手にもしてもらえない…、寂しい毎日を送ることが目に見えていた。日本にいれば、兄もいる。歳の離れた兄はその当時はまだ大学生だった。
 でも内定は決まっていて、両親は別に日本にいてもいいと言うので残ることにした。生活資金は毎月振り込んでくれているし、家も残して行った。2人にしては少し広いが、何より住み慣れた家が一番安心できる。