知らない顔、知らない教室、孤独を感じるものの。カバンから新品の教科書など出すのは少し嬉しかった。仲間になれた気がするからだろう。
「ねぇ、あんなこうちの学年にいたっけ?」
「さぁ?あんたが知らないなんて珍しいね」
派手な髪色と染めてない暗めの色の髪色の正反対の少女らが話している。
それは自分を指すものとすぐわかった。
みんなから見れば異端者なのだから
わかってたけど少し悲しかった。
俯いた、また自信がなくなった。
「話しかけてくれば?あんたのせいで俯いちゃった」
「あ、あたしのせい!?」
派手な髪色の少女は驚いた顔をしてるが、話すきっかけが生まれたとも思った。
その知らない少女のそばにより
「こんにちは、はじめまして」
にっこりと笑みを浮かべた。
それは天真爛漫な笑顔
心から歓迎してる笑顔
「えっと、はじめまして」
俯いた少女は、顔をあげた。
「やっぱ見たことのない顔だ」
うーんと深く考え込む派手な髪の少女
「考えたって無駄じゃん、千代」
「つばめ」
もう一人の少女だ。
二人の名前は、千代とつばめと言うらしい。
「こいつ、馬鹿だからつっこんだあげて」
暗めの髪の少女が言う。
「う、うん」
「ちょっと同意しちゃダメ」
と千代は否定した。
「そういえばちゃんと自己紹介してなかった、あたしは益野つばめ、この髪色地毛だから誤解しないで」
そういって髪を触る
「あたしは染めてるよ、金髪に、あっあたしは千代田かもめ、みんな千代って呼ぶから千代でいいよ」
元気に言う。
正反対だけどそれが妙に心地がよいみたいだ。
「私の名前は松山秋乃、よろしく」
少し顔を赤く染め、千代とつばめもよろしくと言った。


すぐに打ち解けた三人で行った。
「始業式終わったらさー本堂先輩の練習みよーよ」
「またぁ?あたしは神守先輩の練習見たいんだけど…」
千代とつばめは言い争う。
「えっと、有名なの?」
「そっか、秋乃は知らなかったね、ごめん。それにあんたの歓迎会の方が優先だよね」
つばめは言う
「か、歓迎会なんていいよ、それより二人が言う先輩って」
手をぶんぶん顔の前で振り、そのあとに疑問をぶつけた。
「あぁ、うちの学校の有名人だよ、それを人くくりにすると三強とか御三家とかそういう風に呼ばれてるんだー」
指を立て説明する、千代
「へー、でもあともう一人は?」
別世界だなーと思いながらも、先ほど二人が言ったのは二人だけだ。
「あー、生徒会長だよ、女の先輩だからうちらではあんま話題に上がんないけど、才色兼備ないい人らしいよ、始業式でまぁ見れるよ」
大して興味がないようだ。
「千代はその先輩あんま好きじゃないもんね」
つばめが言う。
「なんで好きじゃないの?」
疑問だ
才色兼備だから憎まれるのだろうか?
「まぁあたしも好きか嫌いかって言ったら好きじゃないし」
つばさも好きじゃないらしい。
少し疑問を残し始業式が始まった。
「それでは生徒会長の挨拶です」
校長の長い話のあとにこれだ。
少し眠いが、その生徒会長が気になる。
壇上にあがり言葉を、発する。
言葉の内容こそ、入ってこなかったものの、綺麗な声だとは思った。
長い黒髪も白い肌
大和美人と言われるような人だった。
思わず同性でも見惚れるような人だ。
もしかしたらそれが嫌われる理由なのかもしれない。その人がいるだけで自分が霞むからなのかもしれないからだ。

「綺麗な人だね」
「まぁね」
始業式が終わって感想がこれだ。
「なんというか完璧過ぎて好きになれない。見た目も内面もね」
千代の言う内面はまだわからないものの、見た目ということはわかった。
きっとコンプレックスがすぐにわかるからだ。
「で、さっきの続き、けっきょくどっちにする」
「秋乃に二人を見てもえばいいじゃん」
「そっか」
千代はぽんと手を置いた。
「じゃあ先に本堂先輩でいいよね?今日練習時間短いらしいから」
「じゃあそのあと神守先輩ね」
千代とつばめはそう言った。


「あそこのFWが本堂冬樹先輩」
キャーと黄色い声をあげる千代と反対につばめは反対に冷めている。
女生徒が多く、千代と同じようにみんななっている。
「かっこいい」
思わず出た言葉
「でしょ、でしょ?」
千代は興奮している。
獅子のような髪型、茶色の髪は太陽によく照らされ輝きを増している。
瞳は碧でどんな宝石よりも輝いているように見えた。
脳裏に焼き付けられるような人だった。
ずっと見ていたい。
そう思った。

「キャー、頑張って」
場所は変わり武道場
素振りをしてるだけなのに、こんなにも人が集まってくる。
「これがつばめよ、信じられないでしょ」
千代は冷静に言う。
顔は防具をかぶっているためわからないが、これだけの人が集まるということは、かっこいいのだろう。
そうすると素振りをとめた。
防具をとり汗を拭う。
素顔が見えた途端また黄色い声が飛ぶ。
容貌は、ピアスが開けられて、男にしては長い髪ゴムで軽く結んでいるらしい。金色の髪と蒼色の瞳は王子様を連想させる。
「チャラ男にしか見えないけど」
千代は毒を吐いた。
私もさきほど見た本堂先輩がとてもかっこよかったため、彼は霞んで見えてしまった。
「今日の練習は終わりだから各自ストレッチしてあがれよ」
彼はそう言って武道場からいなくなった
「はぁ、神守時雨先輩やっぱかっこいい」
頬に手をあて、呟いたつばめだった。
「じゃあこれから秋乃の歓迎会だー三人で」
拳を上にあげて言う。
「えっ、ありがどう」
そうしてなかよく下校し寄り道をしていった。


「ほかの奴らは?」
「知らないわ」
練習を終えた。神守は生徒会室に来ていた。
「あなたも無理してこなくていいのよ、大変でしょ?」
「嫌味か?」
「気遣ってるだけよ」
淡々に言葉を放つ彼女
話してる相手は生徒会長だ。
「俺だって生徒会役員だ。しかも副会長は会長を支える役職だ。」
「そう、ありがたいわ」
日当たりの悪い生徒会室、電気もつけずにいるため辺りは暗い。
「手伝う」
自分の座席に座り、仕事をし始めた。
「スピーチよかった。さすがだ」
「聞いててくれたの」
雑談だが手のスピードは先程より速い。
「誰も聞いてないんだ。だから俺ぐらい聞いててやんねーと」
「同情で聞くくらいなら聞かなくていいわ」
生徒会室には生徒会長と副会長二人のみだ。
「なぁ、新歓頼んでいいか?主将だから」
「わかった、森くんたちに連絡して頂戴」
「あぁ、あいつら担当だしな」
ゴロゴロと空が鳴る
「やだ、雷。傘持ってるかしら冬樹」
椅子から立ち上がりグランドが見える窓を除く。雨もいきなり降ってきたようだ。
「風邪ひかないといいけど」
「幼馴染みだっけ?あいつと」
「えぇ、幼馴染みよ、勘違いはよして」
「誰もそんなふうに思ってない」
一瞬でも疑ったのがバレたようだ。
「すぐに晴れるさ、向こうは晴れだし」
といい逆方向を見る
そうすると、彼女は頷いた