そんな先輩に自分はまた引き込まれていた。

「ああ!そう言えば、まだ名前聞いてなかったね!
私2年B組の高橋渚、よろしくね」


驚いた…2年生…。


「え!?3年じゃないんですか!?」

「なに?それは老けて見えるってこと?
失礼ですね、今の1年生は…
傷ついちゃったなぁ…」

「わああああ!!違います違います!!
雰囲気とか、弓道してる姿とか、諸々含めて3年生だと思ってたんで」

「あははははは、冗談だよ
君は慌てると面白いね~
弓道している姿か…誉め言葉として受け取っとくよ」

そう無邪気に笑った。

「誉め言葉ですよ!
あ、俺は1年B組の双見晴です」

「晴君かぁ
いい名前、明るい名前…
気に入った!!君弓道部に入りなよ!!
私が教えたげる!!」

少しうつ向き、一瞬悲しいように見えた。

その後の自信に満ちた笑顔は、一瞬気になったその顔を打ち消してしまうほど、明るく輝いて見えた。










「おーい、晴?
どうなんだって聞いてんだけど?
聞いてる?」


先輩は弓道を始めて二年、暇さえあれば練習して。


「ああ、聞いてるって」


…その姿は誰かを追いかけるように。
一生懸命誰かにアピールしているような。
先輩の練習姿はそんな感じがした。



「先輩は…」



先輩は憧れの人がいるんだと。

入部してからわかった。


「俺はただの憧れ
とにかく追い付きたいってだけだから
不純な動機はないよ」





一歩後退した。


摺り足で引くような感覚。


なんでだろう。