そういって先輩は手をこちらに広げた。

「自主練って俺まだ弓引き始めたばっかですよ?」

そう、6月に入り、ある程度の知識のはいった1年も巻き藁で練習する事になったのだ。
だが最初は"軽い弓"(引く時の重さ)しか使わせてもらってない。

「それに、先生に怒られますって」

「はぁ~君がそんな意気地無しだとは思わなかった
じゃあ弓道場行くから、また明日ね~」


そう言われるとそう言われたで嫌なのだが、先輩の背中を見送り音楽止めた。


憧れの先輩と練習、もしかしたら、あの人の上手さの理由が知れるかもしれない。


休みと技術迷うにはそう時間はかからなかった。


俺は傘を取り弓道場に向かった。





鍵の開いた弓道場をチラッと覗く、あの時のように。


「あれ、先輩いない?
袴に着替えてんのかな、まあ俺はジャージで良いか」


そう言って中に来ていたジャージに着替えて弓道場に入った