ほお。

私の口から感嘆のため息が漏れた。

長谷部くんといい、妹といい。

なんて優しい兄妹なんだ。

「うちなんて、すぐにオッケーの返事なんてもらえないよ。交換条件とか出される」

「そうなの? 藍ちゃんなんでもしてくれるけどなあ」

「うっわ、藍ちゃん天使だね」

「天使かどうかはわかんないけど。でも、部屋の掃除や片付けも手伝ってくれるし、弁当もいつも作ってくれて、優しい妹だよ」

「長谷部くん、それを人は天使と呼ぶのだよ……」

すごい、素晴らしすぎるよ長谷部兄妹。

うちの弟に爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。




「ね、藍ちゃんってどんな感じの子なの? 長谷部くんに似てる?」

「うーん、どうだろう。雰囲気は似てるって言われるけど、髪の色や質は違うかな? 僕は天然パーマで少し茶色がかった母親似だけど、藍ちゃんは黒髪ストレートの父親似だから」

「長谷部くん、地毛だったんだ?」

少しだけくるっとした髪の毛が、天然なのかパーマなのか少しだけ気になっていたけれど。

なるほど、だから徹夜明けみたいなボロボロの時にすごくボサボサだったんだ、と心の中で納得する。

「宇高さんは染めてるの? 綺麗な色だね」

「そ、そうかなあ。ありがとー」

イケメンに褒められるとちょっとドキドキしてしまう。

そういえばシロも結構男前だけど、アイツの場合はドS気質だから、褒めるというか貶されることの方が多いもんなあ……。

「久々のオンナノコ扱い、心臓に悪いわ」

「ん? 何か言った?」

「ううん、何でもないよ。でも本当に美味しかった。ごちそうさま」

顔の前で手を合わせると、すごく嬉しそうに長谷部くんが微笑んだ。