「あのー...」

「はい?」

「すいません...その子、探していて...えーっと...」

その人のかっこよさで言いたいことがうまく言えない。
だが、彼は戸惑ってる私を見て、助けてくれた。

「...もしかして、この子の飼い主?」

「はい!...すいません...。」

情けない私に私はあきれた。
すると

「...あははは!君、おもしろいね!なんで、謝るの?あはははは!!」

と、笑った。彼の笑顔は、明るくて、元気にさせられる笑顔だった。
なにも言えず、下を向いていると、メリーを抱いて、私に渡した。

「はい!手放したらダメだよ!またこの子が迷ってるの見たら、僕がもらっちゃうからね!」

私が受けとると、彼は腕時計を見て、「やっべ!じゃあ!」といって走っていった。

彼がいなくなるのを見送りながら、胸の奥が熱くなるのを感じた。