『貴方……何をしたの?』

『そんな怖い顔しないで下さい。……お話を聞いてくれたら貴女……いや、碧様はきちんと家に帰ることが出来ます。』

『勝手に条件をつけないで頂けますか。』

白蛇の勝手な意見で帰れない碧。
だが、碧は疲れ切った表情でこう言った。

『話だけを聞けば良いのね……わかった。』

その瞬間、パッと白蛇の表情が明るくなった。──だが。

『その代わり、私とは距離を置いて話をして貰いますからね。』

『わかりました。』



それから、白蛇は階段を降り、碧は階段の中間くらいまで登り、階段に腰掛けた。

『……それで、話って?』

『まぁ、まず……私の名前は白蛇(ハクダ)と申します。以後お見知りおきを……』

『知っておく必要あるんですかね。それによって私に何のメリットが?』

とにかく強い言い方で相手を責める事にした。

『まず、貴方は何故人間の姿をしているのか、、住所や本当の名前は、どうして私の名前を知っているんですか、そして私への真の目的とは───』

ズラズラと相手を急かす様に質問を続ける。そして、白蛇が口を開いた。

『……そんなに知りたいのなら教えてあげましょう。……私が人間の姿をしているのは、碧様の祖母、と碧様に感謝の意を示したかったから、……住所はありません、此処が家です。本当の名前は先程申し上げた白蛇です。貴方は小さい頃から神社を良く訪れていたのを見ていたからです。』

『……さっぱり意味がわかりません。……まぁ、それで?真の目的は何?』


もう話が纏まっていない。面倒なので後回しにする事にした。

『真の目的は、一つ目は碧様達に感謝の意を示す事、そして最後は────』

白蛇は一段ずつ階段を登り、二段手前で止まると、碧の目を見てこう言った。



『─人間と一緒に暮らす事です。』