何時も通学の時に行く道とは真逆の方向に足を進める。小学校の頃となんの変りもない風景が広がる。ふと祖母を思い出した。
──私が中学三年生頃、丁度受験を控えていた前日、祖母は持病を患っていた事を今まで私に教えてはくれず、朝の「碧ちゃん、行ってらっしゃい。」が最期の一言だった。
それはもう悲しくて一晩中泣いていた。時々泣いた事もあるけれど、
「そんなに泣いてるとおばあちゃん心配しちゃうよ。」
と、お母さんから言われ、泣く事を我慢した。
小学生から高校生になった私は今、懐かしさと切なさがある。
この道を祖母と歩いた事は一生忘れない。忘れる訳が無い。何時までもこの場所を大切にしようと心に決めた……今日この頃。
十五分歩いた所に何時もの橋、何時ものそ鳥居……そして石の階段。
小さい時の様に早く登ったりはせず、あの頃を思い出しながら一段一段登った。
そして、一番上まで登ると、奥に古い神様を祀っている置物がある。
それに手を併せて御参りをし、卵を置いた。
……何時までもこの場所が平和でありますようにと願いを込めた。
