カーテンから僅かに入ってくる光。それが丁度顔に当たり目が覚めた。

時計は何時も起きる時間の一時間も過ぎていた。


階段を降り、暫くボケーっとテレビを見る。お母さんが作り置きしていた朝ご飯を食べながらふと外を見た。
青い絨毯の様な空、刷毛で描いた様な白い雲が広がる良い天気の中、

『(久し振りに散歩にでも行こうかな。)』

と考えていた。



ヨーグルトの最後の一口を口に含むと食べ終わった食器を重ねてシンクへと持って行く。
食器同士がぶつかりガチャガチャと音が鳴りながらもお皿やマグカップを洗う。


一通り洗い物を終した所で、お母さんに頼まれていた洗濯物を二階のベランダへ干す。



十五分程度で終わり、外に出る準備をする。比較的動きやすい服を選び、何時も一本に束ねている髪は今日はゆるい三つ編みにした。

そして、支度を終え玄関で靴を履こうとした時、ある忘れ物に気が付いた。

『ふぅ……忘れる所だった……。』

冷蔵庫を開けたの左下に入っているものを手に取る。


黄色っぽい色をしたもの、丸く白い……祖母との散歩に必ず持って行った──油揚げと生卵だった。