『……さようなら』


呆れた顔で去ろうとする碧。


『お話を聞いてくれないと、出れないと言った筈です。』

ピタッと足を止めた碧。

『人間と一緒に暮らすって……警察行きたいの?』

『ですから、……碧様のおばあ様との約束を果たさなければならないのです。』


碧は首を傾げた。

『……約束?』

『おばあ様が亡くなる二日前、一人で神社に御参りに来たのです。……そして、こう言っていました。』

" 私が居なくなったら、碧ちゃんの傍に居てやって下さい。寂しくない様に……あの子をお守り下さい "


『……おばあちゃん……』

『ですから、……碧様と一緒に暮らしても良いですか?』




何とも言えない……沈黙が続く。
祖母がそんな事を思って御参りしてくれたのは嬉しい。……だが、今日初めて会った人と暮らすのはちょっと怖い、いや、ちょっと所ではない。
例えて言うなら某番組のお泊り企画に近い……が、それよりも怖い気がする。

私の家には父と母、私と弟の四人で暮らしている。

───バレたらどうするのだろう……



『あ、バレたりはしませんのでご安心を……』

心を読まれたかの様に話を突いてきた。


『私の姿は限られた人間にしか見えませんので大丈夫です。』

『あぁ、それなら大丈夫かも……』



って、納得している場合ではない。
限られた人間にしか見えない?益々変人度が上がってきた。