「……お前も一人か?」

そう声をかけると少年は首を傾げた。
……言葉がわからないのか?

そう思ったがさらに続ける。

「呪ったりしねぇんなら一緒に来るか?」

それはほとんど好奇心と、一人だということへの同情から出た言葉だ。

深く考えずに口にした言葉に真っ白の少年は無表情のまま頷いてしまった。

それでそのまま数ヶ月が経ち、 晴れて高校生になった今も真白は俺のそばにいるってわけ。

まぁ、特に何かしてくるわけではなく、本当にただそこにいるだけ。
当たり前だが、他のやつには真白の姿は見えていない。
それに、なぜかこいつがいると他のモノが寄り付いてこないのだ。

いまだに真白のことはよくわかっていないが、今のところ追い払う気も正体を突き止める気もない。

「あーーまたつまらない授業が始まるな」

俺は腕を思い切り上に伸ばして、再び地面に横になった。

鷹栖 謙太郎
高校一年目の4月

物語はすでに動き始めていた。