水泳が大好きな私でも一時期、嫌になった。それは一度水泳をやめたとき。タイムも、体力も、肺活量もどんどん低下していった。水泳をやっているときは、長距離走も得意だった。けれど、もう前のようには走れなくなった。苦しい。そう感じるようになって、気づいた。これじゃ水泳も無理だ。そう思ったら、いっきに怖くなった。嫌になった。
中学に入った当初は、部自体が少なく
水泳部がなかった為、違う部に入った。その部はとてもつまらなかった。やりたくなかったが、他に入る部活もなかったので、仕方なく入部したのだ。毎日のように、部活嫌。めんどくさい。つまらない。やめたい。などといっていた。
私は何度も何度も続けたかったと影で泣いた。もっと、もっと泳ぎたかった。しかし、そこまで速くない私は続けたいと言えなかった。水泳やりたいな。そうつぶやくと、親は、大人になったらまたはじめたら?と冗談をいうだけだった。とても、とても悲しかった。それからははやく水泳の時期がこないかな。そういって笑って誤魔化していた。もうすぐ授業で水泳がはじまるよ!そう聞くと、最初の内はとても嬉しかった。楽しみだった。けれど、段々嫌になった。前のようには泳げない。それはわかっていた。でも、遅くなっているだろう。およぐのが苦しいだろう。という不安があった。そして、私の一番の不安は、
   『私は泳げるのかな?』
もう泳ぎ方を忘れたかもしれない。
もう泳ぎきれないかもしれない。
もうあの感覚を忘れてしまったかもしれない。
それでもどこかで勝手に期待している自分もいた。
もしかしたら、タイムは遅くなっていても、泳げるかもしれない。そう思う自分に気づかないふりをした。
私は泳げるのか不安になっている自分も、勝手に期待している自分もどちらも嫌いだった。
そして、自分に素直になれない自分が一番嫌いだった。