「先生…。先生に出会えて本当によかった…。先生は、短い時間だったけど、僕に…いっぱい与えてくれたよ。ホントにありがとう…先生…。」


「…一瀬?」


「僕ね……今まで、なんで生まれてきたんだろうって思ってたっ…。自分の人生を呪ってた…。でも、先生に会えたことを考えるとね、生まれてきてよかったって思えるよっ。先生に会うために…生まれてきたんだって…。」


「一瀬……何考えてる?」

やっぱりわかるか……。


さすがだね、先生。


「でも……僕っ…もうダメみたいっ……。疲れた……。…………さようなら…先生………約束守れなくて…ごめんね……。」


「一瀬っ…!待ていちの…」

ガチャッ……。


受話器を置いた。


そして、電話機の電源を切った。


…先生ならきっと、何度でもかけるから…。