ユウウコララマハイル

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八時まであと二時間。
閉店時間から作業を始める棚卸し業者のために、魔窟となっている児童書コーナーの整頓に取りかかった。

 
本来ナツミは夕方出勤組ではなかったのだが、クサレ上司が数日前に持病ができたらしく、ナツミが代わって翌朝五時近くまでの勤務となってしまった。
あまりにも腹が立ったので出勤してすぐに「顔色がよくなったみたいですね」と体調を気遣うように嫌味を言ってやった。


そんな上司をレジに残して、ナツミは黙々と店内整理だ。
こんなときでもないと流動的でない商品の埃を落とせそうにない。
商品整理をするもう一方の手はハンディーモップを常に待機させている。


レジの死角にある児童書コーナー、特に玩具絵本の見本が置いてあるテーブルの乱雑振りが他の比ではない。
ナツミも一日に数度定期的に整理するのだが、片づけても片づけてもテーブルいっぱいに広げられてしまい、中には部品が折れたり欠損したり、なくなったりするものも多い。
今日も実際に模擬太鼓のバチが二本とも行方不明になった。
絵本にくくりつけてあったのにもかかわらず。


思わず溜め息が漏れそうになった。
バイトに書かせた「本を大切に」という注意喚起POPに効力はない。
いっそのこと古沢にでも書かせるかと、古沢の効力を過信期待する。