ナツミの友人だった広瀬は、帰宅途中交通事故に遭っている。
ナツミとじゃあねと別れた直後で、目を離した一瞬だった。
鬼気迫るような、空を劈くような車のブレーキ音がして振り返ると、血溜りの中で倒れている広瀬がいた。
右足が、ない。
切断された右足が、人魚姫のような泡になって消えていく。
見間違えたのだろうか。
ナツミはなにをしたらいいのか、どうしたらいいのかわからず呆然と立ち尽くしてしまった。
そのうち近くにいた大人が救急車を呼び、来るまで動かすなと怒号が飛んだ。
広瀬の右足は、警察関係者の捜索も、ご近所さんの協力も空しく見つからなかった。
なにせ消えたのだ、泡になって。
そんなことフィクションじゃないか。
真実を言ったとしても、誰も信じてはくれないだろう。
幼い頃、広瀬のあだ名は「天使」だった。
色素の抜けた髪と、蒼玉のような深い青色をした瞳。
その上少女のように可愛らしい幼児だったから、そのような言葉を連想させたのかもしれない。
ただ両親が日本人の外見に対して西洋人のような広瀬は周囲から奇異の瞳を向けられることに随分苦労していた。
そんな悪意と好奇の狭間にいても、「お前、いつから俺のオカンになったんだよ」と言われるくらいの世話焼きで、誰よりも無償で優しかった。
広瀬は本物の天使なのかもしれない。
だから人と外見も異なるし、足も消える。
極論かもしれないが、事実足が見当たらないじゃないか。
ナツミとじゃあねと別れた直後で、目を離した一瞬だった。
鬼気迫るような、空を劈くような車のブレーキ音がして振り返ると、血溜りの中で倒れている広瀬がいた。
右足が、ない。
切断された右足が、人魚姫のような泡になって消えていく。
見間違えたのだろうか。
ナツミはなにをしたらいいのか、どうしたらいいのかわからず呆然と立ち尽くしてしまった。
そのうち近くにいた大人が救急車を呼び、来るまで動かすなと怒号が飛んだ。
広瀬の右足は、警察関係者の捜索も、ご近所さんの協力も空しく見つからなかった。
なにせ消えたのだ、泡になって。
そんなことフィクションじゃないか。
真実を言ったとしても、誰も信じてはくれないだろう。
幼い頃、広瀬のあだ名は「天使」だった。
色素の抜けた髪と、蒼玉のような深い青色をした瞳。
その上少女のように可愛らしい幼児だったから、そのような言葉を連想させたのかもしれない。
ただ両親が日本人の外見に対して西洋人のような広瀬は周囲から奇異の瞳を向けられることに随分苦労していた。
そんな悪意と好奇の狭間にいても、「お前、いつから俺のオカンになったんだよ」と言われるくらいの世話焼きで、誰よりも無償で優しかった。
広瀬は本物の天使なのかもしれない。
だから人と外見も異なるし、足も消える。
極論かもしれないが、事実足が見当たらないじゃないか。

