ユウウコララマハイル

「こら、古沢くん! もう起きろって。なんでこんなになるまで飲んだの」


身体を揺すってみるが、びくともしない。
全身に漂わせる酒臭でナツミも酔っ払ってしまいそうだ。
仕事で気力を遣い、さらに体力まで使った。
疲れた身体に、酒は弱いのだ。


「泣いて―――る?」


瞳にキラリと光るものがある。
恐る恐る触れてみるとやはり涙だ。


古沢は機械だと思った。
人と会話もしないし、交流を持たない。
上司や先輩も必要最低限の言葉も持たない古沢の扱いに困っていたが、仕事はよくできたので文句は言わなかった。
ただ文句の代わりに言われたのは嫌味で、「お前仕事できるからな」と先輩方がやるべき自分の仕事を押しつけ、古沢は日付が変わる頃まで残業するということも多いような気がする。
ただ機械古沢も時折バグを起こすらしく、後輩を必要以上に怒鳴り散らすこともあった。
確かにその原因は後輩のミスで古沢のせいではないのだが、周囲の人間からしてみると人前で怒るということ自体見ていて気持ちのよいものではなく、それを繰り返すうちにさらに古沢から人が離れていった。
最初からお前ひとりでやればいいだろう。
そういった声が多くなったのも当然かもしれない。


そんな機械古沢が泣いているのだ。
お酒に頼らないと泣けないのか、それとも夢の中でしか泣けないのか。


ナツミは職場のすべてのことに傍観者で、関係がないと自分の中で切り捨てる。
そうして過ごしていると、怒ることもないし、落ち込むこともない。
適度な相槌と共感だけをしていれば、仕事に支障がなくなるし、人間関係も円滑になる。