ユウウコララマハイル

中村はカケルより、一枚も二枚も上手で器用に生きている。
適う気がしやしない。
中村はカケルの部下であったこともあるけれど、今となってはそれが信じられない。


適当な言葉を並べて、いい加減で、すぐ誤魔化す。
それなのに、自分の気持ちに正直なところが憎めない。
中村は言葉でそれを伝えないけれど、言外に匂わせる。


先ほども言外に“悲しい”を匂わせていた。
それがどこから来たものなのかはさっぱりわからないけれど。


器用に生きているくせに、不器用。


正直なくせに決して中村は素直ではないから、損をすることが多いのだろうなと思う。
だからちっぽけなことでも幸運だとか言うのだ。
今日も目覚ましなしで起きられたことが「ラッキー」だと言っていた。


ラッキー、らっきー、LUCKY。


自分には縁がないものだ。


そういえばくまのぬいぐるみが背負っていた天使の羽根も「これでラッキー倍増」なんて言いながら中村がカケルにプレゼントをした。
飲みの席であったから、わるふざけも入っているとは思うけれど、ほかにも意図があったのかもしれないと、先ほどの中村の態度で訝しんでしまう。