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なんだこりゃと湯船に浸かりながら入浴剤の空袋を手に取る。
今回浴室の床に放置してあったのは、この間手伝った小説の、おまけのような入浴剤のひとつ『老人の成長』。
今夜は若竹色のお湯だ。
「“向上心を持つのはなにも若者だけではない”」
サブタイトルらしき言葉を読み上げてから、もう一度「なんだこりゃ」と呟いた。
小説が得意ではないカケルは、貸そうかと訊ねた中村の申し出を断っている。
空袋も湯の中に引き摺り込み、口元まで潜ってぶくぶく泡を立てる。
今回も煙に巻かれてしまった。
中村が部屋に勝手に入ることは、自分も同じことをしているので怒れることではない。
だから本当に“見て欲しくないもの”、正しくは“触れて欲しくないもの”を中村の目には届かないところに置いておいたつもりだ。
そんなものたちがあの衣装ケースに入っている。
中村はあの曾祖父の手記を読んだのだろうか。
日本語で書かれていない文字は中村に読めるわけがないけれど。
おそらく俺が、手緩かったんだろうなぁ。
なんだこりゃと湯船に浸かりながら入浴剤の空袋を手に取る。
今回浴室の床に放置してあったのは、この間手伝った小説の、おまけのような入浴剤のひとつ『老人の成長』。
今夜は若竹色のお湯だ。
「“向上心を持つのはなにも若者だけではない”」
サブタイトルらしき言葉を読み上げてから、もう一度「なんだこりゃ」と呟いた。
小説が得意ではないカケルは、貸そうかと訊ねた中村の申し出を断っている。
空袋も湯の中に引き摺り込み、口元まで潜ってぶくぶく泡を立てる。
今回も煙に巻かれてしまった。
中村が部屋に勝手に入ることは、自分も同じことをしているので怒れることではない。
だから本当に“見て欲しくないもの”、正しくは“触れて欲しくないもの”を中村の目には届かないところに置いておいたつもりだ。
そんなものたちがあの衣装ケースに入っている。
中村はあの曾祖父の手記を読んだのだろうか。
日本語で書かれていない文字は中村に読めるわけがないけれど。
おそらく俺が、手緩かったんだろうなぁ。

