ユウウコララマハイル

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ぬいぐるみの背中につけた天使の羽根。
綿が入って情けない姿からは開放されたのだが、相変わらず背中の綿口は安全ピンで仮止めされている。


天使の羽根の存在をこのところすっかり忘れていた。
あとで戻そうと思って机の上に置き直したのが、もしかしたら間違いだったのかもしれない。
せっかく洗って干して、防虫剤まで入れたというのに、本の下敷きになっていた。
部屋に古沢が入った痕跡があったが、片づけてくれたのはクローゼットの中だけで、机には及ばない。
それがよかったのか、わるかったのか。


自分が少しでも、部屋を片づけたらいい話なのだが。


ナツミの母はある日突然、綺麗好きというより、潔癖な人になってしまった。
性格もそれに伴うように繊細になり、毎日母の顔色ばかり窺っていた。
きっかけは日常的にいくつも転がっていたのだろうが、高校受験前、友人が交通事故に遭ってしまったあの日を境に爆発。
両親に従順なよい子からナツミは脱却した。
思春期ということもあったのかもしれないが、自分の部屋を汚くすることで母への抵抗を表したのだ。


会社を辞めて地元に戻ると決めたとき、実家に帰る気は毛頭なかった。
それはそれでいいのだが、悪習はなかなか直ってくれずにいる。