ユウウコララマハイル

「どんな幸運が宿ってるの?」


ひょっこり現れたマスターが、興味深そうに女子高生の手元を見詰めている。


「これを買った友達が好きな人に告白されたり、その友達の友達もバスケで全国行けたりしたんだって。ほかにも、あ、うわさの出所は先生なんですけど、今年のクリスマスに結婚するんです。これを持ってからとんとん拍子に結婚話が進んだみたいです。その先生四十代後半で結婚なんて無理だろーとか、あの体型だからーみたいに、みんなにからかわれてたんですけど、なんだかそれで信憑性が余計に出たっていうか」


指を折りながら「まだあるんですよ」と女子高生は溢れる幸運話を教えてくれる。
まるで自分のことのように、頬を淡く染めて。


「このテディベアはラスト一個だから、お嬢さんはラッキーだね」


そう言ったマスターの言葉に女子高生は全身で喜んでいる。
外見とは違って、とても純真な子だ。


女子高生は千円を差し出し、カケルはお釣りを渡した。
時間と手間をかけて幸運も付随しているらしいテディベア。
安すぎやしないだろうか。


けれど、作ってみたいなぁと思ってしまったのは、自分が人を喜ばすのが、苦手だからなのだろう。