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自分を育ててくれた祖母が亡くなった数日後に、自分を捨てた母の死亡通知が届いた。
差出人は母の再婚相手で、先月起こった列車脱線事故で母が亡くなったと書かれていた。
その事故はテレビのニュース報道がされていたから、葉書にも「お気づきだと思いますが」と達筆な字で書かれていた。
知るわけねえじゃん。
それだけ関心がなかった。
ただ死んだ人間に対してそう思ってしまったことに、後ろめたさのようなものが背中に貼りつくようにつき纏って、消えなかった。
今思えばだけれど、あの頃は祖母が亡くなって感情の整理がついていなかったのだと思うし、仕事も思うようにはかどらない、そして母についての三つが重なり、史上最悪の自暴自棄に陥っていたのだと思う。
中村に頭が上がらないのはそのせいだ。
封じていた記憶が、マスターの言葉で蘇った。
『お前ナツミちゃんに、どんな弱み握られてるんだ?』
カケルは苦々しい気持ちになりながら自転車を押して公園橋を渡る。
夜風が頬に冷たく当たる。
近頃の異常気象のせいなのか、突然襲った雷を伴う雨は凍えるように寒い風を残している。
まだ五月の半ばだというのに。
自転車の車輪の、回る音だけが夜道に響いている。
歩行者の足元を照らし出す街灯の明かりは幻想的で、過去を誘うように手招きしている。
自分を育ててくれた祖母が亡くなった数日後に、自分を捨てた母の死亡通知が届いた。
差出人は母の再婚相手で、先月起こった列車脱線事故で母が亡くなったと書かれていた。
その事故はテレビのニュース報道がされていたから、葉書にも「お気づきだと思いますが」と達筆な字で書かれていた。
知るわけねえじゃん。
それだけ関心がなかった。
ただ死んだ人間に対してそう思ってしまったことに、後ろめたさのようなものが背中に貼りつくようにつき纏って、消えなかった。
今思えばだけれど、あの頃は祖母が亡くなって感情の整理がついていなかったのだと思うし、仕事も思うようにはかどらない、そして母についての三つが重なり、史上最悪の自暴自棄に陥っていたのだと思う。
中村に頭が上がらないのはそのせいだ。
封じていた記憶が、マスターの言葉で蘇った。
『お前ナツミちゃんに、どんな弱み握られてるんだ?』
カケルは苦々しい気持ちになりながら自転車を押して公園橋を渡る。
夜風が頬に冷たく当たる。
近頃の異常気象のせいなのか、突然襲った雷を伴う雨は凍えるように寒い風を残している。
まだ五月の半ばだというのに。
自転車の車輪の、回る音だけが夜道に響いている。
歩行者の足元を照らし出す街灯の明かりは幻想的で、過去を誘うように手招きしている。

