シルビア




「わ、どうしたのいきなり」

「思いついたの!ディスプレイのテーマ!」



突然エンジンがかかったように動く私に、目の前の望はきょとんとした顔で状況についてこれずにいる。

あの赤いバラから思いついたのは、清らかさと『愛』という言葉。そこから膨らむ景色は。



「白いパール系のアクセサリーに、インテリアを全部、ガラス素材やアイアン系で合わせて……テーマはずばり、『清廉』!」

「清廉……?」

「パールやレースが持つ清らかさや純粋さ、それにガラスの透明感と、花の華やかさを合わせて、結婚式の雰囲気で!」



そう、美しさの中にある清廉さ。それはまるで、結婚式で愛を誓うあの瞬間のような、なによりも清らかで迷いのない愛情。

ひとつテーマが決まれば、どんどんと思いつくディスプレイ。

それをひとつひとつ説明し形にしていく私に、望はうんうんと感心したように頷く。



「うん、それいいかも。女性らしい繊細さもあって、きっと会場でも目立つよ」

「本当!?よかったぁ、じゃあ早速細かいインテリアと配置を決めて……」



同意してもらえた嬉しさに、ぱあっと顔が明るくなるのを自分でも感じた。

そんな私を見て、先ほどまで真剣だったその顔はふっとおかしそうに笑う。



「な、なによ」

「思いついた途端、いい顔してるなーと思って」

「なっ!」



お、思いついたことが嬉しくてつい……!

自分の顔を見て笑われているのだと気付き、恥ずかしさに思わず両手で頬を抑えた。

けれど表情を隠そうとする私を見て、望はますますおかしそうだ。



「会ってからずっと悩んでる顔しか見てなかったから。久しぶりに見た、凛花のそういう楽しそうな顔」

「そ……そう?」

「そう。どんな顔もいいけど、やっぱり笑った顔が一番可愛いよ」

「かっ!?」



か、可愛い!?

さらりと自然に言われたその一言に、顔がぼっと赤くなる。



「あれ、照れてる」

「てっ照れてない!」

「照れてるよー」

「もううるさい!っ〜……飲み物買ってくる!!」



それをからかうように言う望に、私は逃げるように鼻息荒くブースを出た。