シルビア




「け、けどね、織田さん?どんな理由でもうちの部署に入ったからには責任を持って……」

「あ、そういえば三好さんっていくつなんですかぁ?」



こちらの話すらもまともに聞くことなく振られた話題。しかも、年齢の話。



くそ、話くらい最後まで聞けって怒りたい……!

けど、出だしから怒るのも彼女のモチベーションが下がる理由になるかもしれないし……っ〜、我慢、我慢しろ自分!!



「に、29だよ……今年30だけど、まだギリギリ20代」



怒りたいのを必死に抑えながら笑顔を作って言ってみせる。

すると織田さんは「へぇ!」と明るい笑顔で頷いた。



「綺麗だけどそこそこの歳なんですねぇ。ま、よく見れば年齢が顔に出てますもんね!」

「なっ!!!」



かわいらしい笑顔から出たその一言はグサッ!!と容赦なく私の心を突き刺した。

計算的な嫌味なのか、天然なのか……と一度は悩んだものの、「ちなみに麻美は20歳ですっ」と付け足された言葉に嫌味なのだとすぐ気付く。



な、な、な……なにを言うの、この子は……!!!

そこそこの歳?顔に出てる?

あぁもう限界、怒りたい、いやダメだ、けどもうっ……!



頭の中で理性と衝動が殴り合いをする最中、廊下の先ではフロアから望が姿を現した。



「あっ、宇井さぁーん。おつかれさまでーすっ」

「織田さん、今日から異動だっけ?よろしくー」

「わかんないことばっかりなので、色々教えてくださいねっ」



途端に織田さんは語尾にハートをつけながら、望へと手を振り駆け寄って行った。



わぁ……本当にわかりやすいくらい、望にしか興味ないんだなぁ……。

一度は差し込んだ希望が、また不安に消えていく。



「……はぁ、」



頑張れる、かなぁ……。