シルビア




「発熱したり倦怠感におそわれたり、眼が見えづらくなったり、神経麻痺をおこしたり……体のどこに症状が出るかがわからないし、いつ悪化するかも分からない。いつか、心不全で亡くなるかもしれない。そういう、病気」



熱、倦怠感、視覚、それらの言葉に思い出すのは、付き合っていた頃から度々体調を崩していたその姿。



この前の体調不良も、それが原因……?

それを知られたくなくて、この前私から薬の袋を奪った?

考えるほどに、ひとつひとつ辻褄が合っていく。



「いつから……?もしかして、ずっと?」

「最初に医者に言われたのが、高校生の時かな。それから多少視力が悪いとか、疲れやすいとかはあったけど目立った症状はなくて。軽ければ治ることもある病気だって聞いてたから、そんなもんなのかなって思ってたんだけど……悪化してきたのは、27くらいの頃から」



27、ってことは5年前。私と付き合って、2年ほどが経った頃だ。

確かに、思えばその頃くらいから望はおかしかったかもしれない。なんて、どれも今思うと簡単に気付けそうなことなのに。



「少し見えづらかった眼が、だんだん悪くなって、倦怠感やめまいで動けなくなって。自分の体が自分のものじゃないように感じるくらい、思った通りにいかなくなってきた」



日常、が、変わっていく。

自分の体なのに、思うように動かない。

その苦しさは、私には想像の中でしかわかりようがないけれど。そっと自分の目元に触れる彼の細い手に、そのつらさを感じた。