シルビア





それから私たちは、会計を済ませると病院の敷地内にある広場へとやって来た。

片隅にあるベンチへと腰をおろせば、青々とした芝生と雲ひとつない空が広がる。



「はい、飲み物。大丈夫?寒くない?」

「うん、平気。ありがと」



手渡されるのは、望が近くの自販機で買ってきてくれたあたたかいミルクティーの缶。

そっと手に取れば、じんわりとあたたかさが伝った。



幸い今日はあまり風も強くないし、気温も高い方。多少ひんやりとはしても、過ごしやすい日だと思う。

そんな私たちの肌をなでるように、小さな風がそっと吹いた。



「……あの、さ。さっきの看護師さんが言ってた、通院日って」

「俺、月に1回この病院の内科と眼科に通ってるんだよね。ちなみにさっきの看護師さんは、内科の看護師さん」



内科と、眼科……?

初めて聞くその話に、いまいち理解が出来ない。


そんな私の心を察するように、望は小さく口を開く。



「……凛花には言いたくなかったんだけど。俺、病気なんだ」

「病、気……?」

「うん。病名はちょっと伏せるけど……簡単に言うと、複雑な病気、なんだよね」



『複雑な病気』、そう大まかな言い方をしているものの、そこには様々な意味があるのだろう。

その重みを隠すように、その声は穏やかだ。