「……ごめん、なさい」
思わずぼそ、とつぶやくと、望は肩を掴んでいた手でくしゃくしゃと私の頭を撫で、顔に触れた。
それはまるで、私がここにいることを、確かめるように。
「あれ、望くん?」
そこに入り込むような声に振り向くと、通りがかった様子の白衣を着た中年女性。
格好から察するに女性は看護師らしく、笑顔で望へと話しかける。
「どうしたの?今日通院日だっけ?」
「あ……ううん、今日は俺じゃなくて」
「あぁ!彼女?こんな美人捕まえて、望くんもやるわねー!」
それだけの短い会話を済ませると、女性はその場を早足で去っていった。
残された望は、少し気まずそうな顔をして体の向きを来た方向へと変える。
「……俺、先戻るから。凛花はゆっくりおいで」
また、そうやって逃げようとするんだ。
いつもそう。いきなり消えて、いきなり現れて、かと思ったらまた消えて。
だけど、おかげでひとつ分かったよ。
これだけ本気で心配してくれて、いつだって優しさをくれる彼の心に、『嫌い』という気持ちがあるはずないということ。
なにか、あるんだ。
彼が、隠し通そうとするなにか。それを、知りたい。
「待って!!」
歩き出そうとする望の服の裾をぐいっと引っ張り、引き留める。



