シルビア




あの高さから落ちて打撲……我ながらすごいな。確信した、私きっとちょっとやそっとじゃ死なないわ。

はは、と苦笑いをこぼし会計で名前を呼ばれるのを待つ。



すると、館内に響くのはバタバタバタと勢いよくかけてくる足音。



「凛花!!」



え……?

叫ぶように呼ばれた名前に振り向くと、そこには息をあげ必死な顔でこちらへかけてくる望の姿。



「の、ぞ……む?」

「凛花!!体は!?怪我は!?大丈夫!?」



額に汗をかき、息をあげながら私の肩を掴んで問いただす望に、驚きが隠せない。



なんで、望がここに……?

どうして、そんな、必死な顔で?



「……ケガ、してないよ。打撲、だった」

「は!?だって黒木さんが結構高い脚立から落ちたって……」

「うん、だからそれで……打撲」



私の答えに今度は望が驚き、安堵するように脱力した。

その両手は、私の肩を掴んだまま。



「心配した……本当に、めちゃくちゃ心配した……」

「そんなに……?」

「当たり前じゃん!ていうかそもそも、脚立なんて誰かに任せてよ!今回はそれで済んだけど、もっとひどい怪我とか、頭ぶつけてたらっ……死んだらどうするんだよ!!」



安心したことから不安な気持ちが怒りに変わったのか、途端にその口調は強いものとなる。



焦ったり怒ったりするその姿は、いつもの望とは、まるで違う。

余裕のない態度はきっと、なによりも彼の本音なのだろう。