「凛花さん~、レースカーテンつけてもらってもいいですかー?」
「え?葛西さんに頼んだはずだけど……」
「葛西さん高いところダメみたいで。見てくださいよ、脚立の上で怯えて動けなくなってる」
女の子の指差すほうを見れば、ブースの端では、白く長いレースカーテンをつけるために高い脚立にのぼったものの、そのてっぺんで怯えたように立ち尽くしている葛西さんの姿……。
って、本当にあてにならない人だなぁ!
「もう!なにしてるの!遊んでないで!」
「遊んでないですよぉー!だって俺高所恐怖症で~……脚立も思った以上に高かったんです~……」
引けた腰ですごすごと降りてくる葛西さんは、いい歳して今にも泣き出しそうだ。
どうも頼りにならない年上上司に、苛立ちをぶつけるように脚立を手で軽く叩くと、頭上で葛西さんは「キャァ!!」と女子のような悲鳴をあげた。
「もう、なら私がやる!降りて!」
「えっ、大丈夫ですか?武田さんか宇井さんどこかにいるはずですし、呼んできます?」
「ううん、平気。ふたりとも今日はネクサス側の手伝いで忙しいらしいし、カーテン飾るくらいなら私にもできるよ」
少し高めの脚立に、心配してくれているのだろう。
でもいけないこともない。今日は作業だからとパンツで来たから、足元も心配いらないし。
よし、と気合いを入れると、やっとの思いで降りてきた葛西さんからカーテンを受け取り、パンプスを脱いで脚立へと乗った。



