「えーと……あの、それは誰からの情報ですか?」
「織田さんに決まってるじゃない。泣きながら教えてくれたわよ」
あることないことの悪口や愚痴くらいは想像していたけれど……そんな身に覚えのないことを言われているなんて。
そしてそれまでも、全く疑い無く信じられてしまうことにも驚きだ。
「柳下さん、いいんですぅ。みんな麻美が悪いんですもん……だからみんな、麻美に仕事押し付けたりちょっとのミスであんなに怒ったりするんです……」
しゅんと言うその姿はまるで小動物のようで可愛らしい。見た目は。
でも『仕事押し付けたり』って、織田さんに出来る範囲のことを任せただけだし……ていうか、織田さんやってないし!
『ちょっとのミス』って、取引先巻き込んだ大きいミスだし!
言ってることがデタラメすぎる……!
「……あのねぇ、」
そこまでないことばかり言われては反論せずにはいられず、思わず口を開いた私に、後ろにいた望はこちらに背中を向けるように私と柳下さんの間に立つ。
「柳下さんさ、ここ1ヶ月以上なにを見てきたの?」
「え……?」
望……?いきなりなにを……?
「最初から営業部とアクセサリー事業部の間に立ってなだめていたのも、なにを言われても我慢していたのも、無視されるのわかってても自分から挨拶してたのも……全部三好さんでしょ?」
「それは……、」
「そんな彼女が、同じ部署の後輩をいじめる?理由もなく怒鳴ったりする?一回落ち着いてよく考えてみなよ」
望の言葉に、背後の黒木ちゃんたちはうんうんと力強く頷いた。
みんな……。
改めて感じる皆の頼もしさに、また泣きそうになってしまう。



