「まぁそれもそうか。言われてみれば佐田の情報ってあてにならないしなー」
「そうですかねぇ……」
望の言葉になんとなく、納得ムードになる空気。……どうして望が言うと、どこか納得出来てしまうんだろう。
何を言っても、嫌味にも嘘にも聞こえず自然と頷けてしまうのは、彼自身が持つ雰囲気の力。
「んじゃ、俺そろそろ営業行ってきまーす」
「おー、いってらっしゃい」
はっ!ま、まずい。ここにいたら話を聞いていたことがバレてしまう。それはそれで気まずくなる。
そう一瞬で考えると、私は素早くドアから離れ、さも『ちょうど今ここに来ました』といった顔でカツカツと廊下を歩く。
「あ、三好さん。外回り行くんでしょー?」
「え、えぇ。今ちょうど呼びに行こうとしてたところ」
「ナイスタイミング。俺も今ちょうど呼びに行こうとしてたんだよねー、じゃ、行こうか」
よし、自然だった!よく出来た私!
気付くことなくにこ、と笑うと望は長い足で廊下を歩き出す。
気付かれていなかった、その安心感とともに、私が知らないところでもああしてフォローをしてくれているという事実に嬉しさを感じてしまう。
……嬉しい、なぁ。
こうしてまた、ひとつずつ。嫌いになれないところばかりが増えていく。



