王子と魔女の恋御伽



嫌味らしく言うわけでもなく、彼女はその綺麗な声で言った。


「それはどうも、斉藤ことねさん。」


「魔女さんは物知りなのね、


今日は私を迎えにでもきたの?」


何もかもをあきらめたような目。


私の存在に対する驚きや恐怖は一切ないようだった。


「迎えに、なんて不吉なこと言わないでよ、


そんな仕事は死神さんにでも頼んでみて。」


そんなことを言いながら、私たちの仕事も十分不吉だな、なんて考える。