そして放課後


教室には誰も居なくて、一人でせっせと日直の仕事を終わらせる。



「雨が止むまで教室で待っていようかな?」


愛華は5時ぐらいに止むって言ってたし、バイトに遅れても大丈夫だと思うから
宿題やりながら待ってよう。









三十分後



なんで止まないの…。


ちょっとイライラしていた私は
スマホを取り出して愛華にLINEをする。


【ねぇ!雨止まないんだけど?!帰れないーー】

すぐに既読がついた

【はぁ?!まだ帰ってなかったの?もう濡れてでも帰りなっ!これから雷だよ】

嘘でしょ?!


私は昔から雷が大の苦手で怖いとすぐ泣いちゃうのっ!



どうしよう!


今日はバイト行かないで家に帰ろう!


走ってドアのほうに行こうとしたら、


……バンッッ!!!




「きゃゃゃぁ!」



誰?!!!!



ってあれ?


「山中?」



神崎君がそこに立っている


「な、なんでいるの?」

なんか運命の出会いみたいな返し方をしてしまった…。

恥ずかしい


「なんでってサッカー部が終わって自分のクラス見たら山中がいたから」


待って!話したことないし、名前も教えた覚えないのになんで私の名前を知っているの?

不思議…。

「な、なんで私の名前を知っているの?」


つい聞いてしまった。


「そ、そりゃあクラスの全員の名前は覚えてるよっ」


と、言った神崎君にちょっと胸がざわつく。



「私、まだクラスの人の名前覚えてないんだよね」


「えっ!もしかして俺も?」


「そんな!神崎君のことはさすがに知ってるよ!学年で有名じゃん」


「そうなのか?!俺、悪口とか言われてんのか?!」

真剣な表情をして聞いてくる神崎君が可愛らしくて笑ってしまう。

「違うよ!モテるって噂でだよ?」

「あ、あぁそうなのか。ちょっと恥ずかしいなっ」

神崎君の無邪気な笑顔を見た瞬間、

ドキンと心臓が飛び跳ねた



「そういえば、山中は帰らないのか?」

「今帰るよ!」

「じゃあ、送ってくよっ!暗いし危ないから」


ドキン。また心臓が飛び跳ねた。

かっこよ過ぎるよ、神崎君

と思いながら神崎君の横に並び、教室を出ようとしたとき





ピカンっ


あれ今光ったよね?綺麗に光ったよね?


もしかして………?



ゴロゴロゴロ………



ドッッッッッカーーーーーーーン!





「きゃっ、きゃぁぁぁあ!」

私はその場でしゃがんで耳を塞ぐ。


怖いっ。
小さい頃の怖い思い出が頭の中で繰り返される。

日直の仕事を終わらせて早く帰ればよかった!


そして、神崎君の前で恥ずかしいっ!



「山中?もしかして雷怖いのか?」

「う、うん…。」

引かれたよね?
雷だけで泣いて、ぶりっ子みたいだよね?


神崎君、早く帰って。

「神崎君、帰って」

「え?」

「恥ずかしいから…帰って!引いたでしょ?泣いたところを見てっ。」

本当にこんなことだけで泣かれるのは神崎君困るし、嫌だよね?

「引くわけないだろ?意味わかんねぇよっ」

と、私の前でしゃがみ

「一緒に帰ろうぜっ
もしよかったら家まで送るよ?」


優しい。こんな優しい男子初めて。


嬉しい。


「いいの?」


「もちろんっ!雷また鳴るから早く帰ろっ」




何回か雷がなったけど、隣が神崎君だったから怖くなかった。

それと、ドキドキして心臓が神崎君のところまで聞こえそうだったよ。