今、俺たちは遊び程度の気持ちで、こんな廃棄に来てしまっている。
「ねえ、そろそろ帰らない?」
こいつはありさ、クラスで一番の美人だ
「そうだよ...なんか少し変な感じがするしやめた方がいいよ」
こいつは拓也(たくや)俺の幼馴染で、よく相談に乗ってやってる霊感があるだのの噂を聞いた事があるな
「拓也がそう言うなら行くしかないだろ!行くぞお前ら!」
こいつは貴己(あつき)簡単に言うと馬鹿、人の気持ちを考えない鬱陶しい
奴だ某アニメのいじめっこみたいな奴だな
「おい!香月(かづき)!行くぞ!」
「はいはい、わかったわかった」

「やっぱりやめた方がいいよ...近づいたらさっきより変な感じがするし...」
「...」
「ありさ、大丈夫か?嫌ならお前だけでも貴己の気をそらして帰らせるけど」
「大丈夫大丈夫!ちょっと耳鳴りが気になってただけだから!」
耳鳴りか...俺もここに来てからずっとしている...こんなに耳鳴りが鳴り続いているのもおかしいはずだ

ガシャン!!

! ?貴己を除いた俺たちはびっくりして何かが落ちたような音のした扉を見つめる
「だから...だからやめようって言ったんだ...俺はもう帰る!!」
ダッダッダッダッ
「拓也!!」「拓也くん!!」

拓也は入り口の方に走っていく
「拓也...」
「拓也くん...」
「おい!!拓也なんて気にしないで行くぞ!!」
まっすぐ歩いていったら少し大きめの部屋があってこの部屋を俺たちは拠点にする事にした


「まずはこの部屋の周りを探索だな!」
貴己は拓也のことなんてなにもなかったように言う
「そうだな、闇雲に行動するよりここの周りの把握が済んだら拓也を探しに行こう」
「はぁ?拓也はもう帰ったんだろ?探す必要なんてねーよ」

ガタッ

貴己が俺の言葉に反論したとき...悪夢が始まったんだ...いや、この廃棄に来ようとなったときから悪夢は始まっていたのかもしれない
「な...なんだこいつ?!」

貴己は、誰もいないはずの方向を向き、見るからに怯えきっている

「うわああああああああああああああああああああああああ」

貴己は入ってきた道とまったく違う方向にいってしまった...俺には、貴己が何を見ていたのかこのときはわかっていなかった

「貴己!!」「貴己くん!!」

貴己は、何かに追いかけられているようだった
「ありささん、どうする?君だけでもここから逃げた方がいいと思うよ?」
「私は残ります皆でここからでましょう」
そのとき
「うわああああああああああああああああああああああああ!!!」
拓也の声だった、
この部屋に入ろうとしているようだが、なぜか入れないらしい勿論、俺もありささんも貴己も鍵なんて掛けてなんかいない
「うわあああああ...ああああ...あ」
ドバッ

扉に赤い液体がこべりつく

「きゃああああああああああ!!」
ありささんが大声で叫ぶ

ありささんの叫びから、数秒で静まり帰る

おかしい、さすがの貴己でもこんな声出したら戻ってくる筈だ、なのに何故戻ってこない...?
「ありささん、貴己のところに行こう、じゃないと」

うわああああああああああああ!!

貴己の声だ

「貴己!おい!貴己!」
俺は貴己が出ていった方の扉に大声で呼び掛ける、何故かこっちの扉も開かなかった。

「もう...嫌...誰か助けて...」
ありささんが上を向いて虚ろな目で呟いている
「ありささん...」
くそっ!何かないのか!?この部屋から出る方法は...
その時、貴己がいる筈の方向と拓也がいた方向の扉とは、別の方向の扉が開いた

...壱夜終