「有理……?」
名前を呼ばれた紺色の髪の少年が頷く。
「久しぶりだな、玲二」
ニカッと白い歯を見せて笑う有理だが、玲二の表情は強張った。
「ど、どうして日本に!? 君はフランスに留学中じゃ…」
「僕らに会いたくなって一時的に帰国したんだよ」
玲二の問いに、代わりに答えたのは隣で立っていた赤髪の少年…洋介だ。
「そうだぜ。5年ぶりの再会なのに、冷たいなあ」
ケラケラと笑い出す有理。それにつられて洋介も笑う。
「ところで玲二、その人は? ……あっ、もしかして昨日、話してた先輩?」
「あ、そうだよ! 月影 黒斗先輩!」
洋介の言葉を聞いて、ようやく玲二の顔に笑顔が戻る。
「へえ、その人かあ! 何だかネクラそうだねえ」
「あ?」
聞き捨てならない単語に、黒斗が鋭い目付きで洋介を睨むが、当の本人はのほほんとしたままだ。
「あわわわわ!! ごめん兄貴! 洋介って思ったことをストレートに言っちゃうタイプだからさ! 気にしないで!」
本人はフォローをしたつもりらしいが、その言い方だと、洋介はやっぱり黒斗をネクラだと思っていることになる。
「……プッ」
不意に有理が吹き出した。
「アハハ!! 5年経ったのに、玲二も洋介も変わらないなあ」
「そういう有理もね!」
笑いあう有理と洋介だが、再び玲二の顔から笑顔が消えた。
「あのさ有理…どうして……戻ってくる気になったの?」
「え、何? もしかして迷惑だった?」
ブンブン、と勢いよく頭を横に振って、玲二が否定を示す。
「違うよ。フランスに行ってから、音沙汰も無かったし、帰ってくる様子も無かったし……」
おどおどしながら言葉を続ける玲二。
「いや、俺もさ、一人前になるまでは帰って来ないつもりだったんだよ。偉そうにフランスまで行ったからには、立派になった俺を見てほしくて。でも、洋介の記事を読んだら2人に会いたい気持ちが抑えられなくなってさ」
「有理も相変わらずだね。思い立ったら即、行動」
「まあな!」
洋介と有理は本当に仲が良いようで、心底楽しそうに笑っている。
