「ホントだ。この写真、どうしたの?」
「有理(ゆうり)がフランスから送ってきてくれたんだ」
「えっ」
有理という名を聞いた瞬間、玲二の顔から表情が消えた。
「アイツも絵の勉強、頑張ってるらしいよ。ボクも頑張らなきゃ」
友のことを考え、笑顔を浮かべる洋介。
だが玲二は無表情のまま立ち尽くしている。
黛 有理(まゆずみ ゆうり)。
玲二と洋介の親友であり、昔はいつも3人でつるんでいた。
今はフランスに留学中で、洋介同様、画家を目指している。
「……玲二? どうしたの、震えて」
「えっ」
言われて初めて、玲二は自分が震えていることに気づいた。
呼吸も、激しい運動をした後のように荒い。
「ご、ごめん洋介。オレ、今日は調子悪いから帰るよ!」
「えっ、大丈夫なのか」
心配そうに見つめる洋介に「大丈夫」とだけ言って、玲二は逃げるように部屋から出ていった。
「どうしたんだろう……有理のこと話した途端に、様子がおかしくなったような……」
後に残された洋介は、首を傾げるだけだった。
