デスサイズ



「お願いします!! オレを舎弟にして下さい!」








「…………」

「…………」



長い長い沈黙が、美術室に舞い降りた。

腕を組んで無表情のまま、玲二を見下ろす黒斗。

頭を下げたまま動かない玲二。



「……今、何と?」

「オレを舎弟に…」

「聞こえなかったという意味じゃない」


冷静にツッコミを入れると、黒斗は頭を抱えた。


「舎弟って何だ、舎弟って。どうしてそうなった」


気持ちを落ち着かせようとするが、あまりにも予想外かつ突拍子なお願いに、さすがの黒斗も動揺を隠せない。


一方、玲二は黒斗の気持ちも知らずに、瞳を輝かせて口を開いた。

「だって先輩、かっこいいし、ケンカ強いんですもん! オレ、先輩に憧れたんです!」

興奮ぎみに言葉を続ける玲二。


「オレ、先輩みたいな強い人になりたいんです! だから、お願いします! 舎弟にして下さい!」

今度は床に膝をつき、土下座をして頼み込んできた。


「…………」


腕を組んで最良の選択肢を思案する黒斗。


しばらく考えた後、適当に話を合わせてやることにして、重たい口を開いた。


「わかった。好きにしろ」

「ほ、本当ですか!?」

ガバッと顔を上げる玲二に頷く。


「あ、ありがとうございます!! じゃあ、明日から宜しくお願いしますね、兄貴!!」

満面の笑みを浮かべながら、玲二はドタドタと騒がしく美術室を出ていった。




「……何で、俺のまわりには騒がしい奴しか居ないんだ……」

深い溜め息を吐き、頭を抱える黒斗はグチるように呟くのだった。