「落とし前つけねえってのか!? こんなにも痛がってるってのに!!」

スキンヘッドがそう怒鳴ると、後ろにいたモヒカン頭がわざとらしく右腕を抑える。


「ああ、イタイよー! 腕が痛くて死にそうだー!!」



小学生以下のヘタクソな演技に思わず黒斗が失笑すると、気配を感じた5人の不良が振り向いた。



「何見てんだコラア」

リーダー格の金髪がお決まりの台詞を口にして、黒斗が鼻で笑う。


「野郎! 何がおかしい!!」

金髪が怒りを露に黒斗に詰め寄ってくる。


「別に……自分より弱い相手にしか威張れない、愚かな奴らだと思っただけだ」

「この野郎がああ!!」

嘲笑する黒斗に、血管を浮き出させながらキレた金髪が拳を振り上げて殴りかかる。



だが



「遅い」



拳が黒斗に当たるよりも早く、右足が金髪の股間にヒットしていた。

グラリ、と金髪の巨体が仰向けに倒れこむ。

白目を剥き、口からは泡を吹いており完全に気絶している。


「う……うわあああ!! リーダーがやられたー!!」

一瞬でリーダーを倒されて、残りの4人はさっさと退散していった。



後に残されたのは黒斗と少年、そして倒れている金髪だけだ。