次の日の朝
「よし、準備オッケーや!」
自室で身支度を整えた鈴は両手で拳を作り、グッと握りしめた。
そんな彼女を傍(かたわ)らのリンが興味深そうに見つめている。
「ミャーン」
声をかけてきたリンに振り向き、喉を撫でてやる。
「堪忍なリン、今日は一緒に遊べへんのや。……ウチな、ココアを殺した犯人を見つけて、警察に捕まえてもらうんや」
愛犬ココアを殺され、悲しむカナを見た鈴は昨日、犯人を見つけることを決意した。
刑事でもなければ探偵でもない自分でも、犯人の情報を少しでも探ることが出来れば、と思い立ったのだ。
今日は日曜日で学校も休みだから、丁度いいと鈴は張り切った。
「ええか? 絶対に外に出たらアカンで? ほな!」
「ミィー」
外に出てはいけないとリンにしっかりと言い聞かせ、戸締まりも確認すると、意気揚々と外に飛び出して行った。
数時間後…
「はあ…しんどいわー…」
コンビニで買ったおにぎりを頬張りながら、鈴はトボトボと歩いていた。
朝の10時に家を出て、現在の時刻は15時すぎ。
5時間も情報収集しているにも関わらず、有益な情報は全く得られず、強い疲労感が鈴を襲った。
そもそも日名田公園自体、あまり人が寄りつかないことで有名な場所である。
ココアがさらわれた時や死骸が置かれた時に、都合よく、人が近くを歩いている訳ではないのだ。
「ふう……やっぱり無理やったんかな…ウチが犯人見つけるなんて…」
おにぎりを食べ終えて、思わず弱音をこぼしてしまうが、脳裏にカナの泣き顔がよぎり、頭をブンブンと振って気を取り直す。
「弱気になったらアカン! 考えろ、考えるんや……日名田公園での目撃情報が期待できないんやったら……他の場所で…」
腕を組み、うーんうーんと唸りだす鈴。
数分が経過した後、ある考えに至って、顔を勢いよく上げた。
「そや! 最初の犠牲ネコの飼い主さんが住んでいる場所の近くやったら、日名田公園よりは人目につきやすいハズや! 行ってみよか!」
先程よりも軽くなった足取りで、鈴は走り出した。
