「ククッ……覚悟はいいか、クソ犬」
ニヤリと笑うと林は手袋をはめて、机に置いてあった包丁を手に取りココアに近寄る。
その包丁には返り血がこびりついていた。
「どいつもこいつもムカつくけどよ…一番ムカつくのはお前ら動物なんだ!!」
ケージを開けて、ココアの首を掴んで引きずり出すと、腹部めがけて勢いよく包丁を降り下ろした。
グシュッ
「キュー、ピッ、ピッ……」
痛みにココアはもがくが、小型犬の力では人間の手から逃れることは出来なかった。
「俺みたいに頑張ってる人間は評価されなくて、お前ら畜生(チクショウ)は可愛いってだけでチヤホヤされる………本当に腹が立つぜ!!」
そう叫ぶとココアの腹に刺さったままの包丁を真下に動かし、さらに腹を裂いていく。
グチュグチュグチュ
肉が裂ける音と共に血しぶきが飛び散り、林の顔にかかるが、彼は包丁を動かす手を止めない。
「ざまあみろ!! ハハハハ!!」
既に息絶えているココアを見下ろしながら林は狂ったように笑いだす。
「何の役にも立たないくせに、可愛がられて愛されて……ムカつくんだよ!! いい気味だ!!」
辞職していく従業員。
理由も言わずに家を出た妻。
こんなにも自分は頑張っているのに、どうして誰も解ってくれないのか。
どうして皆、離れていくのか。
そんな事を考えているうちに、いつしか林の怒りの矛先は、他人のペットへと向けられるようになった。
役に立たなくても、頑張らなくても、ただ“可愛い”という理由だけで愛され、必要とされる存在。
自分とは真逆の存在。
林には許しがたい存在。
抑えきれない苛立ちと怒りに突き動かされ、林は衝動的に猫を捕まえて殺した。
首輪が付いていたので、飼い猫であったのだろうが関係ない。
むしろ、飼い主に自分と同じく、愛する者が突然いなくなる悲しみを、痛みを味あわせてやりたかった。
「さーて、と」
ココアの腹部に大きな穴を開けたことを確認すると、林は躊躇(ちゅうちょ)することなく、その穴に両手を突っ込み内臓をわしづかみにした。
ブヂャ
グチュッ
「あのガキが見たら、一生忘れられないようにしてやる」
猟奇的な笑顔を浮かべながら、林は掴んでいた内臓を一気に引っ張り出す。
グシャ
ブチ、ブチィッ
生々しい音と、大量の血と共に引っ張り出された内臓を満足そうに見つめると、透明のポリ袋の中に入れた。
「ハハハ……明日が楽しみだぜ…ハハハハ!!」
空っぽになりながらも、噴水のように血が噴き出し続けているココアの腹を見ながら、林は楽しそうに笑うのだった。
