「うう…ちょっと、おトイレ」
公園に1人残されたカナは、ココアのリードをしっかりと鉄棒に結ぶと、公園内のトイレに入っていった。
「…………」
カナがトイレに入るのを見計らったように、白い作業着を着て、黒く大きな鞄を持った男が公園に現れ、鉄棒に繋がれたココアに近寄っていく……。
「ふう、スッキリした!」
数分後、トイレから出てきたカナがココアを繋いでいた鉄棒に目を向ける。
「…………え?」
鉄棒に繋いでいた筈のココアが居ない。
「ココア?」
公園内を見回しても、他に誰も居ない。
「うそ…うそだよね? ココア……ココアー!」
慌てて公園から飛び出し、周囲を見回すがココアは何処にも居ない。
「うわああーん……ココアが…ココアが居なくなっちゃったあぁ…………」
カナはその場に座り込み、泣き出してしまった。
そんなカナの様子を、遠くから白い作業着の男が面白そうに見つめていた。
