「ネコちゃん可愛い」
いつの間にか近くに寄ってきていた幼い少女が、リンを見て声をかけてくる。
茶色いセミロングヘアーの少女であり、隣にはペットの茶色い毛並みのチワワが居た。
チワワはリードで繋がれており、手綱を少女がしっかりと両手で握っている。
「おおきにな! お嬢ちゃんのチワワも、かわええで!」
「ありがとう! この子、ココアっていうの。カナの誕生日に、ママとパパがプレゼントしてくれたんだ」
カナが頭を撫でると、ココアはどこか幸せそうな顔をした。
「お姉ちゃんのネコちゃん、お名前なーに?」
「リンやで。風鈴(ふうりん)から取ったんや」
「なでなでしてもいい?」
「もちろんや!」
ありがとう、と礼を述べるとカナは手を伸ばしてリンの頭を撫でる。
するとリンは気持ち良さそうな顔をして、もっと撫でろと言わんばかりに、カナの手に頭を押しつけてきた。
「かわいい~」
しばらくリンを堪能(たんのう)した後、カナは手を離した。
それを確認すると鈴はベンチから立ち上がる。
「じゃ、お姉ちゃん達そろそろ帰るな」
「お姉ちゃん、明日も来る? またリンちゃんなでたい」
「ええで! じゃあ明日はお姉ちゃんにもココアちゃんなでなでさせてやー」
「うん!」
笑顔で頷くカナの頭を撫で、鈴は「また明日な!」と手を振り公園を出て、黒斗も後を追った。
