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翌日の放課後




学校が終わり、さっさと家に帰ろうとした黒斗だったが、いつもよりテンションが高い鈴に呼びかけられ、自宅までの帰り道を共にすることになった。



「でなー、ウチが朝起きると、ミャーミャー鳴きながら甘えてくるんよ! 可愛くてたまらんわー!」

「へー」


学校を出てから、鈴の猫自慢を聞かされ続けてうんざりしている黒斗は生返事で答えるが、鈴は全く気にしていない。



「ミィー」


猫の鳴き声が聞こえ、黒斗が足を止めた。


「どないしたん?」

「……お前の可愛いリンが迎えに来たようだぞ」

「えっ?」


言われて鈴が周囲を見回す。


「ミャーン」

「あっ!」


鳴き声がハッキリと聞こえて、鈴が振り返ると、その先にはリンが居た。

リンの姿を認めた鈴が満面の笑みを浮かべる。

「リンー! 迎えに来てくれたんかー、ええ子やなあ!」

「ミャー」

鈴が声をかけると、リンは彼女の胸に飛び込んできた。


「…本当、よくなつかれてるな」

ゴロゴロと喉をならしながら甘えるリンを見て黒斗が呟くと、鈴は照れくさそうに笑う。


「せっかくやし、ちょっと遊んでくか?」

そう言うと鈴はリンを抱きながら、黒斗と共に近くの公園へと入っていった。



「さ、公園の中で自由に遊びや」


犬を連れた子供が1人しか居ない寂れた公園のベンチに座り、鈴がリンに言うが、リンは鈴の膝の上で丸まった。

どうやらリンは鈴の膝が心地好いようである。


「ホンマかわええなあ」

「お前、そればっかり言ってるな」

鈴の飼い主バカっぷりに呆れながら、黒斗も隣に腰かけた。


「だって、動物を飼うの夢やったもん。ペットショップは高くて、おかんに頼めへんかったし……このリンとはウチ、運命的なもんを感じるんや」


そう言ってリンを見つめる鈴の目は優しく、リンへの深い愛情を黒斗は感じられた。