何気なく黒斗は少年の姿を観察する。


猫っ毛の銀髪と、エメラルドグリーンの瞳。

女顔の童顔で、綺麗というよりは可愛い系だろう。


如月高校の紋章が着いた青いブレザーを着ているので、同じ学校に通っているようだ。





「ふざけんなコラアァァ!!!!」

突如、店内に怒声が響き渡り、驚いた少年が手に持っていたサイフを落としてしまう。

「あ、わわわわわ!!」

床に落ちたサイフから小銭が飛び散り、慌てて少年が拾い始めるので、黒斗も手伝う。


「す、すいません」

「辞職など許さんぞっ!!」

「うひいぃ」


少年が黒斗に頭を下げるが、再び響いた怒鳴り声に驚き、肩を強張らせた。

店内に居る他の客も、何事かと声の主に目を向ける。

小銭を拾い終わり、黒斗も同様に声がした方向を見やると、顔を真っ赤にした50代くらいの男性が電話ごしに怒鳴りこんでいる姿が見えた。