平田は素早く拳銃を取り出すと同時に、黒斗の眉間に銃口を向けた。
この拳銃は警官が使うものではなく、彼自身が裏の取引で手に入れたものだ。
撃ち出された弾丸は黒斗の眉間を貫き、眉間と後頭部に開いた穴から勢いよく血が噴き出す。
(やった!)
思わずガッツポーズをとる平田。
だが銃弾が頭部を貫通したにも関わらず、黒斗は血を流しながら平然と立ち尽くしたままだ。
「な、何で……っ!?」
放心する平田と江角。
そんな2人を嘲るように、口角を吊り上げる黒斗。
数秒が経過すると傷口が塞がり、眉間から流れていた血と、辺りに飛び散った血が虚空に溶け込むように消え去った。
「……う………うわあああああああぁぁっ!!」
パニック状態の平田は、黒斗へ銃を乱射する。
何度も銃声が響き渡り、それに比例して飛び散る血の量も増えていく。
弾切れに気付いた平田は黒斗の姿を一瞥(いちべつ)するが、先ほどと同じく傷口と血は消え去り、服の穴までもが塞がっていた。
