「アンタは……今日、病院に来てた……」
血のように赤い瞳。
サラサラとした綺麗な黒髪。
見覚えのある顔に、江角は一瞬言葉を失ってしまう。
「…………あの小うるさい関西娘と一緒にいた暗そうな子が“死神”だったなんてね」
江角の言葉に死神――月影 黒斗は何も答えない。
「顔を見せるだなんて随分と余裕じゃない」
「これから死ぬ奴に顔を見られたところで、困りはしないからな」
江角の背中に隠れていた平田が おずおずと、顔を出す。
「し、知ってる奴なのかい?」
「ええ。うちの病院に来てた学生に間違いないわ。やたらとテンションの高い関西弁女と一緒に居たから、印象に残ってる」
その言葉を聞いた平田は立ち上がり、余裕の笑みを浮かべた。
「は……ははっ。何が死神だよ、普通の人間じゃないか! ガキのくせに俺達を殺そうだなんて……ナメてんじゃねえよ!!」
