「違う! 奴は人間じゃなく本物の死神だ! 死神に襲われた生存者たちは皆、口を揃えて黒いフードを被った髑髏(ドクロ)の仮面の男にやられたと証言している!
それに……現場には被害者の血痕が残っていても、傷口は全く無い……人間には不可能な芸当だ!」
「……貴方、それでも警察? 死神だなんてバカ言ってないで、さっさと捕まえなさいよ。夜も落ち着いて歩けやしないわ」
深い溜め息を吐き、腕を組んで江角は更に続ける。
「黒フードと仮面は単なるコスプレ! 傷口が消えているのは、きっとうまいこと細工をしているからよ! 全く……貴方が死神なんかを信じているだなんて……」
「あ、あ……あ…………」
青ざめた平田が震えていることに気付き、江角は言葉を止めた。
「なに?」
江角の問いに、平田は震える指で彼女の後ろを指さす。
ゆっくりと振り向いた江角の目の前には、髑髏があった。
