「たくっ、貴方も月影くんも! 何だって私の周りの子供達は一癖も二癖もあるのかしら!」
「……アンタと比べりゃあ、俺達なんか可愛いもんだろ」
「このガキ、しばいてやる」
目が据わっている佐々木が手を振り上げると、玲二が慌ててその腕を掴んだ。
「お母さん、ダメだってば! 暴力はよくないよー!!」
「うきゃー!! だってムカツクんだものおぉっ!!」
ギャアギャア騒ぐ佐々木親子を、半眼の何とも言えない表情で見つめる黒斗。
感情の抑制(よくせい)が下手、思いつきとその時のテンションだけで行動する、言うこともやることも支離滅裂(しりめつれつ)。
お世辞にも人が出来ているとは言えない佐々木が、よく教師になれたものだと黒斗はボンヤリと思う。
「ハアハア……まあ、いいわ……玲二に免じて許してあげる……」
玲二の説得を受けて、佐々木はどうにか怒りを堪えることに成功したようだ。
「そうだ。私、探してる人が居るのよ。こんなオジさんだけど知らない?」
「……いきなり話が変わったな……」
ひたすらマイペースな佐々木に精神的な疲れを感じながらも、黒斗は彼女が出してきた紙を受け取る。
「……!?」
書かれているものに目を通した瞬間、黒斗の顔色が変わった。
「おっ、何か知ってんの!?」
黒斗の反応に、佐々木が期待を込めた目で見つめる。
「……………………佐々木先生」
「え、ええ!」
「……ゴクリ」
真剣な黒斗の様子に、佐々木と玲二の身体が緊張のあまり強張った。
少しの間があった後、黒斗の口が開かれた。
「アンタ…………絵が下手すぎるぞ」
そう言って黒斗は持っていた紙を佐々木親子側に向けて見せた。
紙に描かれているのは大きな丸に、へのへのもへの顔。
まるで幼稚園児――いや、幼稚園児よりも酷く下手くそな絵がソコにあった。
「こんな下手くそな似顔絵で人探しとか、世の中をナメてん……」
バキッ
爽快な音と共に、黒斗の頭に佐々木のチョップが炸裂した。
